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| ●長寿の秘密にせまる
食生活の中から苦みが消えつつあると言います。食べづらいからでしょうか。食の幼児化と言ってもいいかもしれません。大のおとなでも、ピーマンやセロリを食べられないという人が、けっこう多かったりします。ゴーヤーなんてとんでもない、と。 でも、だれもが子どものころからおいしいと思っていたわけではありません。ゴーヤーの苦味がきらいだといううちなーの子どもは少なくありません。しかし、おとなになると自然に、あたりまえのように食べるようになるのです。いや、ゴーヤーのない食卓など想像もできないと思うようになるでしょう。その苦みは、「子どものころ、親に言われてしぶしぶ食べた」という思い出にもつながっています。だれもが子どもの頃、カノさんのように「くすいむんさあ、そう思って食べなさい」と言われて食べてきたのです。しかし、あれほどいやだった苦味を、美味しいと感じるようになる。ゴーヤーの苦みはおとなの味なのです。 食べ方は家によってそれぞれ。ただ家々には祖母から母、そして子、孫に伝えられていく味があると言います。そうしてうちなーでは、古くから日常の食生活が養生そのものだと教えられ、暮らしの知恵を食べるようにゴーヤーを食べてきたのです。どの成分がなにに効いているなどということは、はっきりとわかりません。ただ、ゴーヤーを食べることで、毎日元気をもらえるような気がする。それが「くすいむん」なのです。 それだけではありません。やまとんちゅう(日本人)はこれを「沖縄の伝統的な食文化」などと言いますが、うちなんちゅうは、そんなにたいそうなことを考えているわけではありません。ただ、夏になればゴーヤーをいかようにも料理して食べる。その苦みを味わうことがごく自然だから、そしてなによりもおいしいから食べるのです。その積み重ねを伝統というなら、うちなーには「苦みの伝統」があると言えます。苦みを美味しく食べる伝統です。故郷を遠く離れて暮らすうちなんちゅうはたくさんいます。しかし、故郷に帰りたければゴーヤーを一口含むだけで十分だという人もいます。なつかしい苦みは、家族と囲んだ食卓の風景や、元気で暮らす父や母の姿、そして年老いても畑仕事に精を出す祖父母の笑顔を思い出させてくれるかもしれません。あるいはサトウキビ畑を渡るてぃだ(大陽)の風を思い出させてくれるかもしれないのです。 「ゴーヤーの苦みには、沖縄のすべてが凝縮されている」 そう言って胸をはるうちなんちゅうもいます。 カノさんに教えてもらったもうひとつのことば、「ぬちぐすい」がそれです。 「国際通り近くの牧志公設市場にいってみるといい。ぬちぐすいの意味がわかるよ」 この「ぬちぐすい」が、沖縄に世界でも有数の長寿の風土を生み出したと言えるでしょう。 「長寿」の背景には、さらに注目すべき事実がありました。沖縄では私たち現代人の死因の上位を占めるガン、心臓疾患、脳血管疾患による死亡率が極めて低いのです。とりわけガンと脳血管疾患の死亡率は全国でも最低なのです。 「ぬちぐすい」を支える食材の秘密に迫ってみましょう。 |
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