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流行というのは不思議なものだ。 多くの少女たちの話を聞いてきたが、自分のことばで語り、自分のスタイルで行動する者はほとんどいない。だが、それは大人に対してだけなのだ。深く話してみると、「自分」というものをはっきりともっていることに驚かされる。学校のこと、友だちのこと、親のこと、将来のこと、けっこう真剣に考えているんだ。まあ、外見はいろんな子がいて、ほんとうにいろいろだけれどね。 問題なのは大人の方だ。すべて大人社会の価値観ではかろうとして、大人の理解の範囲に押し込めようとする。理解できないものはすべて「変」とか「問題」のひと言でかたづけようとするのだ。しかし、従順に育てたつもりでも、彼女たちはぷいっと簡単に踏み出してしまう。 たとえば鹿児島の場合、どうやらルーズソックスは校則で禁じられているようだ。しかし、彼女たちは考える。放課後、公衆トイレではきかえてしまえば終わりなのだ。彼女たちは従順なふりをしている。従順とはこの場合、自分の価値観をもたない、自分の頭で考えないことを意味する。 だけどぼくは、58号線を歩いていてすれちがう女子高生たちを見て、わあ、いいなあと思ってしまった。 「うわっ、スーパーカブだ」 ぼくは思わず思わず笑っていた。 国内、あっちこっち行ったけど、高校生のあいだでスーパーカブが流行っているのは、おそらく種子島だけじゃないだろうか。ちょっとまてよ、「バイク通学はスーパーカブで」と校則で決められているのかもしれない。 「いいえ。五〇cc以内って定められているだけ」 道端にバイクを停めて話し込んでいた二人の女子高生に聞くと、そう言って笑った。 「スクーターの方がかわいいんじゃない?」 ぼくのことばに彼女は声を上げて笑った。ぼくも自分で言っておきながら、バイクがかわいいなんて、変だなと思った。バイクに乗った君たちがかわいいと言うならまだしも、そのものが「かわいい」というのは、まさに女子高生の物言いだ。 「だって、乗りやすいよ。スピードは出るし、じょうぶだし」 「安定感あるしい……、長距離もだいじょうぶ」 そういえば、かなりの距離を走ってくる子もいる。毎日の通学のことだ、見た目よりも機能が第一。しかし、見た目もなかなか颯爽としていてよろしい。 ぼくを追い越していったカブは、集団のまま道路脇の自動車教習所に飛び込んでいった。卒業をひかえて、次は車の免許だ。 「へえ、そんなのがいいんだ。変わってるなあ」 そういうふうに驚かせてくれる子どもたちは、たくさんいるんだ。 「種子島へ 拒めない海」2000年6月刊 再海社 |
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