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新しい道、広い道が敷かれ、耕地の整理が進み、田園の風景もどんどん人工的、直線的になっていく。その中をずんずん歩く。 時計は午後三時をまわったばかりだ。宿をさがそう。ちょっと早いけれど、足を投げ出して、ビールでも飲もう。温泉でもあったら最高だな、などと一人でにんまりしていた。 「なにをさがしてるの?」 それは高い。許容範囲をはるかに越えていた。 「でもね、温泉はお金さえ払えばだれでも入れるから、どっか安い民宿に泊まって、温泉だけ入りにいくのがいいよ」 彼女は知り合いの民宿を教えてくれて、電話までかけてくれた。ところが、「食事は外でするから素泊まりでいいよ」と勝手に決めてしまう。弱ったなという顔をしていると、笑いながら言った。 「晩ご飯はね、温泉の食堂、レストランていうの? そこですますといいわ。居酒屋とか料理屋に行くより安いし、もちろん民宿よりも安い。味もいいしね、なによりも生ビールがあるよ」 なるほど、そいつはうれしい。ぼくはさっそく民宿で荷物をおろすと、タオルを一枚ぶら下げてその温泉に出かけた。 民宿にもどったらおやじさんが、ゆっくりだったねと笑っていた。 少しは晴れているのかもしれない。チャンスかなと思って外に出たのだ。
「種子島へ 拒めない海」2000年6月刊 再海社 |
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