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ゴーヤーは、その独特の味や効能が注目されていますが、新しい食材ではありません。薬膳の国、中国では15世紀頃から、人々に親しまれてきました。数々の本草書(植物の薬効を記したもの)や医学書に効能 が記され、伝統的なその知恵は今も大切にされています。薬膳の国の人びとは、ゴーヤーをどのようにとらえているのでしょう。 |
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第2章 ゴーヤーを「陰陽説」と「五行説」で考える ゴーヤーについて、1596年、李時珍の書いた『本草綱目』(ほんぞうこうもく)に次のように記されています。 「苦瓜はもと南蛮に産したものだ。今では福建、広東、広西いずれの地域でも栽培されている。」「果実は、味が苦く、性質は寒で、毒はない。邪熱を除き、疲れを解し、心を清め、目を明らかにする。」 暗号のような文ですね。薬膳の基本となる「陰陽説」と「五行説」に基づいてその有用性を説明しているのです。「陰陽説」と「五行説」とはどのような考え方でしょう。夏に収穫されるゴーヤーの有用性は、その季節にしかないのでしょうか。 2―1) 季節感のある食事は体調をととのえる 「陰陽説」は世の中すべてのものは、陰と陽に分けられるという考え方です。陰と陽は対立していますが、どちらか一方だけでは存在しません。陰陽のバランスはいつも変動し、時には陰が陽に変わったり陽が陰に変わることもあります。 人の体内の陰陽のバランスも、自然界のエネルギーのサイクルやリズムに従って変化します。1年をみると「陰」は秋から強まって冬にピークとなり、春から強まる「陽」は夏にピークとなります。 季節に応じた食事は、陰陽に傾いたからだのバランスをとって体調を整え、次の季節への備えになります。 また、体質が陰陽どちらかに傾いていては、健康は保てません。中庸になるよう、反対の性質の食べ物で中和してバランスを保つのが、薬膳の基本的な考え方です。 |
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薬膳では食材の味と性質を五つに分けてとらえています。 2―3) ゴーヤーは「寒」、体を冷ます力が強い 陽のエネルギーがピークとなる夏には、陰を補う食事(補陰)が必要です。陰の性質をもつ「涼」や「寒」の食べ物を食べてバランスをとりましょう。なかでもゴーヤーは「寒」で、からだを冷ます力は「涼」より強力です。暑さ、濃い味や脂っこいもの、酒などの身体を熱性にする邪気を防ぎ、清涼感をもたらします。のどの渇きをとめて、水分のとり過ぎにより胃腸が弱るのを防いでくれます。 |
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「五行説」は自然の運行を木・火・土・金・水の5つの性質に分類して考えるものです。5つはそれぞれが助け合い、働きを促進したり、抑制しあうことで調和をとっています。季節、方角、時間、味、体の 臓器、機能、感情にいたるまで、この世界のすべてのものが木・火・土・金・水の五つに分類され、互いの関係が説明されています。 |
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「五行」によると、夏は「心」に気をつける季節です。「心」は心臓の働きと、感情や思考、意識、判断などの精神のを統括する働きがあります。「心」の働きをよくするのは、苦い食べ物です。つまりゴーヤーの苦味は、暑さで負担が増した心臓を助け、血の巡りをよくし、精神を安定させる働きがあるというわけです。 次のような方は、ゴーヤーを食べてみてはいかがでしょう。赤ら顔の方、心臓病、高血圧、発熱のとき、舌先が痛い、味がわからない、舌の潰瘍など舌に症状があるときは、苦味を欲しているからだのサインです。最近では、ゴーヤーのジュースやお茶、ゴーヤー粉末などがあって、一年中利用できるようです。 |
第3章 健康のために私たちができること これまで、薬膳の考え方と、薬膳におけるゴーヤーの特性について概説しました。夏の暑さからからだを守る「寒」の食材としてだけでなく、心臓の負担を軽くし、精神を安定する食材として、ゴーヤーは安心して食することができます。 明治以降主流となった現在の西洋医学では、病気は潜在する素因と環境によって誘発されることが、徐々にわかってきました。生活習慣病においては、その予防に力が注がれています。これは、からだのバランスをとり、未病を防ぐ漢方の考えに共通します。 自己の体調にあわせ、身近な食材の性質を生かした薬膳を食べることは、健康のための環境を整えることです。病院や薬(もちろん漢方薬であっても)だけに、安易に依存していませんか。漢方の考え方を学び、薬膳を家庭に取り入れることで、長い人生を楽しく健康に過ごせるでしょう。わたしたち一人一人が食医のようになり、自己管理ができたらとてもすてきですよね。 |
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