薬食同源


 

ゴーヤーは、その独特の味や効能が注目されていますが、新しい食材ではありません。薬膳の国、中国では15世紀頃から、人々に親しまれてきました。数々の本草書(植物の薬効を記したもの)や医学書に効能 が記され、伝統的なその知恵は今も大切にされています。薬膳の国の人びとは、ゴーヤーをどのようにとらえているのでしょう。

第1章 漢方と薬膳

第2章 ゴーヤーを「陰陽説」と「五行説」で考える

第3章 健康のために私たちができること


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第1章 漢方と薬膳

ここでは、ゴーヤーを知る前に、漢方そして薬膳について、少しお話します。

1―1) 漢方のはなし

漢方には中医と和漢があります。中国に生まれた伝統医学、中医学は紀元前1世紀頃の漢王朝の時代にほぼ完成し、さらに二千年以上の時をかけて発展しました。
一方、日本の漢方、和漢は奈良平安の時代に中国から伝わった中医学が、独自の発展をしたものです。江戸時代には最盛期をむかえました。ところが明治以降、採用された西洋医学におされ、和漢は正規の医学からはずれ、現在のようになりました。

1―2) 薬膳の目的は二つ、病の治療と予防です

中国には古来から、『薬食同源』という考え方があります。食べ物の選択を大切にして食が調和していれば、決して病気にはならない、病気になった時は食を正すことが第一の治療となるといった意味です。医食同源ともいわれますが、薬食同源と同じです。
この『薬食同源』に基づく漢方料理(=薬膳)は、二つの役割を持っています。ひとつは病気の治療を目的とするもので「食療」といい、もうひとつは病気の予防を目的とするもので「食養」といいます。現代に生きる私たちにも、参考になる古人の知恵です。

1―3)食医は最高のお医者さん

薬膳のルーツは、紀元前400年ころ、中国の春秋戦国時代に始まります。当時の医師は、食医、疾医(内科)、傷医(外科)、獣医の四科にわかれていました。この中での最高位は食医です。皇帝が病気をせず、長生きできるようにすることが義務付けられていた食医は、医学全般と食品栄養、調理技術と薬膳効果を熟知していたといわれています。
食医は未病(将来発現する危険性のある病気のこと)を知って食事を正しく指導し、病気の予防をしていたのです。

1―4)中医営養学

紀元前202年〜後8年、最も古い医学書『黄帝内経』(こうていだいけい)が著されました。ここにも「医師は病気を診断するときには、患者の飲食を必ず問わなければならない」「薬と食事で病を治す」と明記され、薬食同源の思想がみられます。
バランスのとれた食事についての記載もあります。穀物は命のパワーの源とされ、主食として最も重要視しています。ゴーヤーなどの野菜は、主食や肉類だけでは不足する、水分、ビタミン、ミネラル、繊維質を補います。

 
未精米、豆類、アワ、キビ、麦の五穀
生命を養う 主体となる(養)
魚、肉などの畜産品、
動物性タンパク質の有益な栄養(益)
野菜類
水分、ミネラル、繊維質の補充(充)
くだもの、ドライフルーツ
野菜で足りない栄養の補い(助)
 


1―5)最高の薬は効き目の穏やかな日常の食事です

西暦25年から220年頃に著された漢方薬の古典に『神農本草経』(しんのうほんぞうきょう)があります。日常食や薬を作用レベルによって上品(じょうほん)、中品(ちゅうほん)下品(げほん)の3つのランクに分類しています。
最高の薬は効き目の穏やかな日常の食事で、上品に分類されます。一般的な薬は効き目も強いのですが、性急で強すぎたり副作用があったりします。 ゴーヤーの特性を知り、上手に日常の食生活に利用すれば、じっくりとからだの調子を整えてくれることでしょう。

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以上、薬膳の歴史をかいつまんで紹介しました。次の章で、ゴーヤーの本質にせまります。

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第2章 ゴーヤーを「陰陽説」と「五行説」で考える

ゴーヤーについて、1596年、李時珍の書いた『本草綱目』(ほんぞうこうもく)に次のように記されています。

「苦瓜はもと南蛮に産したものだ。今では福建、広東、広西いずれの地域でも栽培されている。」「果実は、味が苦く、性質は寒で、毒はない。邪熱を除き、疲れを解し、心を清め、目を明らかにする。」
「種子は味が苦くて甘い。性質は寒で、毒はない。気を益し、陽を盛んにする。」

暗号のような文ですね。薬膳の基本となる「陰陽説」と「五行説」に基づいてその有用性を説明しているのです。「陰陽説」と「五行説」とはどのような考え方でしょう。夏に収穫されるゴーヤーの有用性は、その季節にしかないのでしょうか。

2―1) 季節感のある食事は体調をととのえる

「陰陽説」は世の中すべてのものは、陰と陽に分けられるという考え方です。陰と陽は対立していますが、どちらか一方だけでは存在しません。陰陽のバランスはいつも変動し、時には陰が陽に変わったり陽が陰に変わることもあります。

人の体内の陰陽のバランスも、自然界のエネルギーのサイクルやリズムに従って変化します。1年をみると「陰」は秋から強まって冬にピークとなり、春から強まる「陽」は夏にピークとなります。 季節に応じた食事は、陰陽に傾いたからだのバランスをとって体調を整え、次の季節への備えになります。

また、体質が陰陽どちらかに傾いていては、健康は保てません。中庸になるよう、反対の性質の食べ物で中和してバランスを保つのが、薬膳の基本的な考え方です。

 
電気(ー)
休息
沈着
寒性
涼性
電気(+)
太陽
活動
興奮
熱性
温性
 


2―2)五味とあたためる食べ物、冷ます食べ物

薬膳では食材の味と性質を五つに分けてとらえています。
酸、苦、甘、辛、鹹(しおからい味)、この五つの味を五味といいます。食べ物は口に入ると、スーッと冷えたり、カッカとした熱感を覚えたりします。さらに体内に取り込まれてどんな作用を現すのか、熱、温、平、涼、寒の五つに分類したものを、五性といいます。寒と涼は共に身体を冷やすという性質をもち、消炎、鎮静作用があります。
陰に対しては鹹味、辛味で温のものを、陽には苦くて寒の薬食を用います。

2―3) ゴーヤーは「寒」、体を冷ます力が強い

陽のエネルギーがピークとなる夏には、陰を補う食事(補陰)が必要です。陰の性質をもつ「涼」や「寒」の食べ物を食べてバランスをとりましょう。なかでもゴーヤーは「寒」で、からだを冷ます力は「涼」より強力です。暑さ、濃い味や脂っこいもの、酒などの身体を熱性にする邪気を防ぎ、清涼感をもたらします。のどの渇きをとめて、水分のとり過ぎにより胃腸が弱るのを防いでくれます。
夏に限らず、熱の症状が強く出る場合があります。患部に赤味や熱感があって、顔色が赤く、冷たいものを飲みたがり、尿の色がとても濃い時です。そのような時、ゴーヤーは解熱、鎮静、消炎作用を発揮します。
特に生で食べると、「寒」の性質が強くでます。


 
温熱性
ニンニク、ニラ、カボチャ、黒砂糖、うど、ミカン
平 性
卵、牛乳、グレープフルーツ、うるち米、ぶどう、豚肉
寒涼性
ゴーヤー、ナス、キュウリ、トマト、セロリ、塩
 


2―4) 「五行説」

「五行説」は自然の運行を木・火・土・金・水の5つの性質に分類して考えるものです。5つはそれぞれが助け合い、働きを促進したり、抑制しあうことで調和をとっています。季節、方角、時間、味、体の 臓器、機能、感情にいたるまで、この世界のすべてのものが木・火・土・金・水の五つに分類され、互いの関係が説明されています。

 
五行
五方
五季
五気
五臓
五腑
五主
五官
五情
五色
五味
小腸
土用
湿
肌肉
西
大腸
膀胱
 


2―5) ゴーヤーの苦味は心臓をたすける

「五行」によると、夏は「心」に気をつける季節です。「心」は心臓の働きと、感情や思考、意識、判断などの精神のを統括する働きがあります。「心」の働きをよくするのは、苦い食べ物です。つまりゴーヤーの苦味は、暑さで負担が増した心臓を助け、血の巡りをよくし、精神を安定させる働きがあるというわけです。

次のような方は、ゴーヤーを食べてみてはいかがでしょう。赤ら顔の方、心臓病、高血圧、発熱のとき、舌先が痛い、味がわからない、舌の潰瘍など舌に症状があるときは、苦味を欲しているからだのサインです。最近では、ゴーヤーのジュースやお茶、ゴーヤー粉末などがあって、一年中利用できるようです。

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第3章 健康のために私たちができること

これまで、薬膳の考え方と、薬膳におけるゴーヤーの特性について概説しました。夏の暑さからからだを守る「寒」の食材としてだけでなく、心臓の負担を軽くし、精神を安定する食材として、ゴーヤーは安心して食することができます。

明治以降主流となった現在の西洋医学では、病気は潜在する素因と環境によって誘発されることが、徐々にわかってきました。生活習慣病においては、その予防に力が注がれています。これは、からだのバランスをとり、未病を防ぐ漢方の考えに共通します。

自己の体調にあわせ、身近な食材の性質を生かした薬膳を食べることは、健康のための環境を整えることです。病院や薬(もちろん漢方薬であっても)だけに、安易に依存していませんか。漢方の考え方を学び、薬膳を家庭に取り入れることで、長い人生を楽しく健康に過ごせるでしょう。わたしたち一人一人が食医のようになり、自己管理ができたらとてもすてきですよね。

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