種のはなし

縦にスパッとゴーヤーを切った。フワフワの薄緑色が中に詰まっていた。あのイボイボの外観から、ベルベットのような中身をいったい誰が想像できただろう。それだけではない。薄緑色のわたに大事に包まれた薄茶色がいくつも潜んでいる。固そうだ。ほじくり出してみるとそれは種だった。

おおっー、その形に私は歓声をあげた。感動のあまり「何にみえる?」とあたりに聞いてまわった。すると解答の100%が「カメ」だった。(注、解答者は幼稚園児ふたり)

 

とにかく、この「カメ」を見てわたしは、ははあんとひらめいた。これを夫にこっそり食べさせよう。トリカブトはよろしくないが、この「カメ」をしのばせても問題にはならないだろう。

きっと、ゴーヤーの種は精力剤になるはずだ。いつものいい加減な直感でいうのではない。漢方の食治の原則「以類治類」に基づいている。

レバーが肝臓に、心臓(ハツ)が心臓に良いとされたり、その形からクルミが脳に、マメが腎臓に良いとされているあれだ。となれば、「カメ」が精力剤というのも「以類治類」に違いない。

早速調べてみた。すると漢方の大御所、難波恒雄先生がこの「カメ」を「男性の性器不能の時には、種子10グラムをよく炒め、つぶして粉末にして1日2〜3回黄酒で服用する」とおっしゃっているではないか。 多くのひとは捨てている中身だが、我が家では重宝するかも知れない。台所でほくそ笑んだ。

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