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はじめに考えてみれば、ここ2、3年、私は急速に「土」に近づいた生活をしているような気がする。 では何が土に近いか、といえばそれは目線を土に近づけることが多くなった、ということである。つまり、よく「しゃがむ」ようになったのだ。 3歳の息子と2歳の娘を連れて外に出ると、彼らはそれこそ所かまわずしゃがみこむ。市街地では道の真ん中でしゃがみ込んでマンホールの蓋の模様を指でなぞったり、アスファルトの上に書かれた白い道路標示を小石で削ろうと試みる。土のある場所に来れば、今度は草と虫が彼らの行く手を阻む。私の地上1メートル50センチから見下ろす視線と、彼らの80センチ程度の高さから視界に入るものはまったく別の風景なのであろう。 「あ、アリ!」「ダンゴムシ!」の声と共にいきなりしゃがみこむ彼らに付き合って私もしゃがむ。すると、「よ、久しぶり!」とばかり何年もご無沙汰していた土の匂いが私の鼻に入り込んでくる。 久しぶりついで、しゃがみ込みついでに私も土にも触る。爪の間に泥が入って、白い部分に泥の透けた黒い縞模様が浮き出てくる。そうそう、この泥が入った爪を男の子に見られるのが恥ずかしくって削った鉛筆の芯の先で除去しようとしては、かえって乱れ飛んだカーボンで爪が黒くなるという、哀しい思いもしたっけ・・・。 ともかく! 今まで自発的に育てたものといえば、小学校5年生の時、観察日記までつけ繁殖させた青カビくらいしか記憶がない私にとって、食べられる植物をタネから育て上げたということは空前絶後の出来事なのである。 そして今年。 農に対し、技術もなければ崇高な思想の持ち主でもない、こんな人間が畑仕事に手を出していいのだろうか、という少しばかりの躊躇もあったが、経験の後に思考がついてくることもあろうさ・・・、と、この夏、菜園の片隅にゴーヤーの苗を植えることになったのである。 私の様に、農業の素人で、自慢できるようなマメな気質も持ち合わせず、しかしながら基本的に土いじりがイヤではなく、一度は自分の育てた野菜を食べてみたい、という欲望を抱えている人は案外多いのではないだろうか。 となれば、私はその現実化の旗手(!?)の一人として立ち上がるのである。 |
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